ibi WebFOCUS App Studio の概要

WebFOCUS App Studio は、業界で広く普及している Microsoft Office リボンインターフェースを基盤に開発され、ユーザ操作やワークフローが簡素化されたことで、開発者は習得に費用や時間をかけずにアプリケーションコンテンツを即座に作成することができます。また、開発者が BI アプリケーションを作成する際に複数のツールを使い分ける必要がないため、開発の効率性が大幅に向上します。

WebFOCUS App Studio には、次の特長があります。

  • 迅速な展開   インストールと設定を短時間で簡単に行えます。
  • 使いやすさ   ユーザが使い慣れたリボン形式のインターフェースを使用します。ユーザの好みに応じてインターフェースをカスタマイズすることで、操作の効率性が高まります。
  • 高い柔軟性   特定のアプリケーションの規定を超えた adhoc クエリ (即時クエリ) を作成して展開することができます。元のデータソースは変更されないため、開発者は他のクエリに影響を与えることなく、いつでもデータ構造にディメンションを追加することができます。
  • 複雑なリクエストのサポート   他の BI 開発環境では、非常に単純なリクエストの処理を除いて複雑なコードを使用する必要がありますが、WebFOCUS App Studio では、リクエストの複雑さに関係なく、常に直観的に操作できるインターフェースであらゆるリクエストを作成することができます。

WebFOCUS App Studio では、他の大部分の開発ソリューションで見られる複雑なマルチツールパラダイムが排除され、完全に統合された単一環境で、レポート、ダッシュボード、InfoApps など、さまざまなタイプの BI アプリケーションやコンテンツをすばやく設計、作成することができます。以下はその例です。

  • 表形式レポートおよび財務レポート - 損益計算書やバランスシートなど、さまざまなタイプのレポートがあります。
  • グラフ - すべての情報コンシューマの要求を満たす 120 種類を超える HTML5 グラフのライブラリを備えています。
  • ダッシュボード - 単一ソースのデータや複数の異種システムのデータを視覚的に表示します。ダッシュボードは、完全なインタラクティブ機能および分析機能を備え、オンライン表示することも、切断モードでオフライン表示することもできます。
  • ドキュメント - Adobe PDF、インタラクティブ PDF、Microsoft PowerPoint などの印刷用ドキュメントです。
  • InfoApps - 使用方法が極めてシンプルなフォーム駆動型 BI アプリケーションです。すべての利害関係者に情報を提供する場合や、カスタム実装や SaaS 実装の場合でも、最も効果的な方法で情報活用が可能になります。
  • モバイル BI アプリケーション - あらゆるデバイスおよびプラットフォームで実行されます。
  • レスポンシブデザイン - デバイスの寸法や形状に順応するデザインのため、ユーザ操作性が向上します。
  • メタデータの作成とモデル化 - マルチファクトスタースキーマ、JOIN、ビジネスビューなどを作成できます。

ibi WebFOCUS App Studio の機能

WebFOCUS App Studio では、次のことを行えます。

データおよびデータ記述へのアクセス   WebFOCUS Reporting Server ブラウザインターフェースを使用して、新しいシノニムを作成したり、既存のシノニムを表示、編集したりできます。シノニムにより、レポートアプリケーションで使用するデータソースへのアクセスと解釈が可能になります。スキーマを視覚的にモデル化してメタデータを設計、作成する機能も備えています。

レポートアプリケーションの作成   レポートキャンバス、グラフキャンバス、HTML キャンバス、ドキュメントキャンバスでレポートプロシジャを作成します。作成可能なコンポーネントには次のものがあります。

  • レポート   データを表形式で表示します。スタンドアロンのレポートプロシジャを作成したり、レポートをドキュメントや HTML ページに挿入したりできます。
  • グラフ   データを視覚的な形式で表示します。複雑なデータでも、分かりやすい視覚的表現に変換することができます。多くの場合、視覚的表現により、情報を別の視点から捉えることが可能になります。スタンドアロンのグラフプロシジャを作成したり、グラフをドキュメントや HTML ページに挿入したりできます。
  • HTML ページ   ユーザが Web ページを開いて、データを表示、分析するための HTML ページを作成します。HTML ページには、複数のレポートやグラフのプロシジャを追加したり、データを操作するためのコントロールを追加したりできます。また、カスケードスタイルシート (CSS)、JavaScript ファイル、jQuery アニメーションを使用することで、スタイルを適用することもできます。
  • ドキュメント   複数のレポートやグラフのプロシジャを単一ドキュメントに統合します。ドキュメント内では、これらのオブジェクトを任意の位置に配置したり、フォーマットを設定したりできます。また、実行前プロシジャおよび実行後プロシジャを追加することで、ドキュメントの実行方法をカスタマイズすることもできます。
  • アラート   テスト条件を適用し、そのテスト条件が満たされた場合に、カスタマイズされたレポートを実行するイベント駆動型のプロシジャを作成します。アラートは、ReportCaster の配信方法を使用してスケジュールすることができます。
  • レポートオブジェクト   複雑なデータ表示を単純なオブジェクトに変換し、そのオブジェクトにユーザが理解しやすい一般的なビジネス用語の名前を付けます。作成されたオブジェクトは、ユーザ独自のレポートを作成する際のテンプレートとして使用することができます。

レポートアプリケーションのカスタマイズ   スタイルや色を適用することでレポートアプリケーションをカスタマイズできるほか、次のコンポーネントをプロシジャに追加することもできます。

  • 一時項目 (DEFINE または COMPUTE ステートメント)   データソースに格納されている実フィールドと同様に扱える一時フィールドを作成します。
  • DEFINE FUNCTION   プロシジャのコンポーネントで使用可能なユーザ関数を作成します。保存された関数は、[関数のパラメータ] ダイアログボックスから取得することができます。
  • JOIN   2 つ以上のデータソースの関係を定義します。これにより、これらのデータソースすべてのデータをレポートで同時に使用することが可能になります。MATCH キャンバスで論理式を作成することで、複数のデータソースを統合することもできます。

環境の管理   次の機能をレポートアプリケーションに適用して、環境の動作を変更することができます。

  • SET   画面への出力時のレポートやグラフの表示方法、レポートやグラフのコンテンツ、パフォーマンスに影響を与えるデータ取得の特性、ユーザリクエストに対するシステム応答を制御します。SET コンポーネントは、メタデータの設定や、日付などの情報の操作にも役立ちます。SET コンポーネントを使用すると、プロシジャのデフォルト設定が上書きされます。
  • アロケーション   WebFOCUS® で作成、使用するファイルの論理名および格納場所を割り当てます。
  • USE   プロシジャで使用する FOCUS データソースを識別します。

ibi WebFOCUS App Studio のアーキテクチャ

ここでは、主要な WebFOCUS コンポーネントと実装について簡単に説明します。WebFOCUS についての詳細は、WebFOCUS のマニュアルを参照してください。

ibi WebFOCUS のネットワークへの統合

WebFOCUS は、Web サーバをユーザのデータに接続することにより既存のネットワークに統合されます。エンドユーザは、Web ブラウザを介して WebFOCUS アプリケーションにアクセスするため、必要なものは次の要素のみです。

  • Web ブラウザ   ユーザが WebFOCUS アプリケーションにアクセスするには、ブラウザと Web サーバ間の TCP/IP 接続が必要です。
  • Web サーバ   Web サーバは、ファイルをブラウザに送信したり、その他の機能を提供するプロセスを実行したりすることで、リクエストを処理します。WebFOCUS の機能は、Java Servlet 呼び出しを使用して Web サーバに接続することで提供されます。
  • データ   WebFOCUS では、ほとんどの場所のデータにアクセスすることができます。データアクセスの構成およびデータの記述が完了すると、そのデータからレポートを作成することができます。

ibi WebFOCUS コンポーネント

主要な WebFOCUS コンポーネントは、次の 2 つです。

  • ibi WebFOCUS Client   WebFOCUS Client は、Web サーバに常駐し、Java Servlet を介して WebFOCUS を Web 環境に接続します。ユーザが WebFOCUS またはブラウザからリクエストを実行すると、WebFOCUS Client がそのリクエストを受信して処理し、WebFOCUS® Reporting Server に転送します。

    スタンドアロン開発環境とは、通常、すべてのソフトウェアコンポーネント (Web サーバ、WebFOCUS Client、Reporting Server) が同一のローカルマシンにインストールされる環境を意味します。この構成では、1 台のマシンからすべてのアプリケーションファイルとデータにアクセスすることができます。開発タスクの実行に他のマシンにアクセスする必要がないため、物理的なネットワーク接続は不要です。

  • WebFOCUS Reporting Server   WebFOCUS Reporting Server は、データへのアクセスが可能なマシン上に常駐します。WebFOCUS Reporting Server は、データアクセス、数値演算、レポート生成の機能を提供します。

ibi WebFOCUS の構成

WebFOCUS は、分散アーキテクチャを採用しています。そのため、WebFOCUS ClientWebFOCUS Reporting Server、ユーザデータは、ネットワーク上の任意のプラットフォームの任意の場所に配置することができます。

たとえば、UNIX で稼動する Apache Web サーバから、Windows 上の SQL Server データに簡単に接続することができます。WebFOCUS Client に接続する WebFOCUS Reporting Server の数に制限はありません。

分散アーキテクチャを構成する際の要件は次のとおりです。

  • WebFOCUS Client は、Web サーバと同一のマシンに配置する必要があります。
  • WebFOCUS Reporting Server のインスタンスは、データの存在するマシンまたはデータにアクセスできるマシンのいずれかにインストールする必要があります。

ibi WebFOCUS App Studio のアーキテクチャ

ここでは、主要な WebFOCUS App Studio コンポーネントと実装について簡単に説明します。

WebFOCUS App Studio は、次のコンポーネントで構成されています。

  • WebFOCUS App Studio グラフィカルユーザインターフェース (GUI)   アプリケーションの作成で使用するグラフィカルな開発機能およびコード生成機能を提供します。
  • Derby データベース   WebFOCUS App Studio がローカル WebFOCUS Client に接続するために必要なユーザアカウントおよびポリシーを格納する組み込みデータベースです。Derby は、ローカル (スタンドアロン) 開発用のライセンスを所有している場合の WebFOCUS App Studio エディションでのみインストールされます。このデータベースは認証用に使用され、開発者権限および管理者権限を持つユーザ ID が事前に組み込まれています。

    注意:WebFOCUS バージョン 9 と同一のマシンに WebFOCUS App Studio をインストールする場合は、WebFOCUS バージョン 9 の Derby データベースを使用するよう WebFOCUS App Studio を構成することができます。

App Studio のディレクトリ構造

ここでは、インストール後に作成される WebFOCUS ディレクトリ構造について説明します。デフォルトのディレクトリは drive:¥ibi です。

¥apps

ディレクトリおよびデータが格納されます。デフォルト設定では、これは WebFOCUS がアプリケーションファイルを検索するアプリケーションルートディレクトリ (APPROOT) です。

このディレクトリは、edaserve.cfg サーバ構成ファイルの APPROOT 変数、および WebFOCUS のインストール時に設定された IBI_Approot_Directory 変数で定義されます。これらの変数は、WebFOCUS がインストールされている Web サーバに存在するアプリケーションのアプリケーションルートディレクトリを指しています。

¥AppStudioxx

WebFOCUS App Studio コンテンツを作成するためのグラフィカルフロントエンドコンポーネントを格納します。

¥AppStudio90¥derby

Derby データベースファイルを格納します。

詳細は、『ibi WebFOCUS App Studio インストールガイド』の「App Studio ディレクトリ構造」を参照してください。

ibi WebFOCUS および ibi WebFOCUS App Studio の処理

下図は、WebFOCUS および WebFOCUS App Studio がリクエストを処理する方法を示しています。各手順が、図の番号に対応しています。

  1. ユーザは、Web ページ上のリンクやフォーム、または WebFOCUS App Studio から WebFOCUS Servlet を呼び出すことで、リクエストとパラメータを送信します。
  2. リクエストとパラメータは、Web サーバまたは Application Server 上の WebFOCUS Client に送信されます。ここでパラメータが処理され、WebFOCUS Reporting Server に送信するリクエストが作成されます。
  3. WebFOCUS Reporting Server は、リクエストを受信して処理し、必要なデータにアクセスします。
  4. リクエストの処理に必要なデータがデータソースから取得されます。
  5. WebFOCUS Reporting Server は、取得したデータを使用してユーザからのリクエストを処理します。
  6. リクエストの結果が、Web サーバまたは Application Server 上の WebFOCUS Client に返されます。
  7. リクエストの結果が、ユーザに返されます。

WebFOCUS App Studio のリクエスト処理方法は、WebFOCUS と同様です。

  • WebFOCUS またはリモート WebFOCUS Reporting Server にアクセスする場合、WebFOCUS App Studio はリモート Web サーバまたは Application Server 上の Servlet を呼び出します。
  • ローカル WebFOCUS Client と、WebFOCUS App Studio とともにインストールされた Reporting Server を使用してリクエストを処理する場合、App Studio は Servlet を使用して、ローカル Web サーバまたは Application Server 経由でローカル Reporting Server を呼び出します。そのため、レポートをローカルで実行するには、使用するマシンに Web サーバが必要です。

ibi WebFOCUS App Studio の開発モード

WebFOCUS App Studio では、ローカル (スタンドアロン) での開発と、リモート環境に対する開発を行えます。[環境ツリー] パネルから、ローカルマシンでアプリケーションを開発したり、リモート WebFOCUS 環境に対してアプリケーションを開発したりすることができます。

WebFOCUS App Studio では、さまざまな種類のファイルで構成されたアプリケーションを作成することができます。アプリケーションは、開発環境でスタンドアロンアプリケーションとして作成することも、Web ベースのセルフサービスアプリケーションとして作成することもできます。

WebFOCUS App Studio の完全インストールを実行すると、次のことを行えます。

  • 1 つまたは複数のリモートサーバに接続し、これらのサーバ上で既存のセルフサービスアプリケーションを変更する。たとえば、既存のアプリケーションにレポートプロシジャを追加することができます。
  • 1 つまたは複数の WebFOCUS 環境へのアクセスを構成する。これにより、WebFOCUS Client および WebFOCUS Reporting Server 上のリソースを管理したり、WebFOCUS がインストールされている場合はそのワークスペース内のリソースを管理したりすることができます。たとえば、プロシジャ、メタデータ、HTML ファイルなどのファイルを作成、編集することができます。

注意:開発マシンに WebFOCUS Reporting Server および WebFOCUS がインストールされていない環境では、上記のうちの最後の 2 つの機能を実行できます。

リモート開発

WebFOCUS App Studio には、リモート開発用に次のシナリオが用意されています。

  • [データサーバ] エリアでは、WebFOCUS Reporting Server 上で直接アプリケーションを作成し、リモート環境に対してその場でリソースを編集することができます。
  • [ワークスペース] エリアでは、BI Portal ワークスペースにアクセスすることができます。ここから、構成済みの WebFOCUS 環境に対して BI Portal アプリケーションの開発および管理を行うことができます。
  • [Web アプリケーション] エリアでは、Web 階層上のリソースを管理し、リモート環境に対してその場でリソースを編集することができます。[Web アプリケーション] ノードには、HTML ページ、カスケードスタイルシート (CSS)、その他の Web コンポーネントを格納することができます。ファイルは、エディタで表示して変更することができます。

リモート開発手順の概要

サーバプラットフォームで新しいアプリケーションを作成するには、次の手順を実行します。

  1. WebFOCUS App Studio をインストールします。インストールプログラムを使用して、WebFOCUS App Studio を Windows マシンにインストールします。
  2. WebFOCUS 環境を追加します。[WebFOCUS 環境のプロパティ] ダイアログボックスから、WebFOCUS Reporting Server を選択することで、このサーバに接続する環境を追加します。詳細は、環境ツリーパネルの使用を参照してください。
  3. サーバにアプリケーションフォルダを作成します。アプリケーションフォルダを [データサーバ] エリアで作成するか、ワークスペースに対して直接作成します。
  4. アプリケーションのコンポーネントを作成、開発、テストします。アプリケーションを開いて、そのコンポーネント (プロシジャ、データソースシノニム、HTML ファイル、関連ファイル) を作成し、WebFOCUS Reporting ServerWebFOCUS Client で開発、テストします。